Index

1.スタートアップビザ(特定活動)とは

2.スタートアップビザ(特定活動)取得の要件

 (1) 日本の大学等を卒業後直ちに申請できる場合

 (2)「外国人起業活動促進事業」又は「国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業」の利用後に本制度を利用する場合

3.外国人起業活動促進事業とは

 (1) 制度を利用できる地域

4.国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業とは

 (1) 対象となる外国人

 (2) 制度を利用できる地域

5.スタートアップビザ(特定活動)のまとめ

1.スタートアップビザ(特定活動)とは

日本の大学を卒業した留学生が起業準備するための在留資格(以下ビザ)をご存知でしょうか。

日本において優秀な留学生の受入れに伊予奥的に取り組んでいるとされる大学等に在籍中から起業活動を行っていた留学生が、卒業後も継続して起業活動を行うことを希望する場合に、特定の要件を満たすことを要件として、特定活動ビザ(以下スタートアップビザ)を取得することが可能となります。このスタートアップビザを取得することで、卒業後更に1年から2年間の創業活動をすることができるようになるのです。

2.スタートアップビザ(特定活動)取得の要件

⑴日本の大学等を卒業後直ちに申請できる場合

①申請される方が、日本において優秀な外国人留学生の受入れに意欲的に取り組んでいるとされる「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校を卒業していること。

具体的な対象校は以下のとおりとなります

I)留学生就職促進プログラム採択校

北海道大学、東北大学、医学、群馬大学、東洋大学、横浜国立大学、金沢大学、静岡大学、名古屋大学、関西大学、愛媛大学、熊本大学、東京大学、山梨大学、神戸大学

 

Ⅱ)留学生就職促進プログラム参画校

北海道科学大学、宮城学院女子大学、東北工業大学、東北学院大学、東北福祉大学、宮城大学、仙台高等専門学校、東北公益文科大学、群馬県立女子大学、高崎経済大学、前橋工科大学、共愛学院前橋国際大学、関東学院大学、上武大学、高崎商科大学、高崎健康福祉大学、群馬工業高等専門学校、島根大学、金沢星稜大学、横浜市立大学、信州大学、常葉大学、静岡理工科大学、静岡英和学院大学、沼津工業高等専門学校、静岡県立大学、静岡産業大学、名古屋工業大学、岐阜大学、名城大学、南山大学、愛知県立大学、大阪大学、大阪市立大学、大阪府立大学、東京理科大学

Ⅲ)スーパーグローバル大学創成支援事業採択校

北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、東京医療歯科大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、広島大学、九州大学、慶応義塾大学、早稲田大学、千葉大学、東京外国語大学、東京藝術大学、長岡技術科学大学、金沢大学、豊橋技術科学大学、京都工芸繊維大学、奈良先端科学技術大学院大学、岡山大学、熊本大学、国際教養大学、会津大学、国際基督教大学、芝浦工業大学、上智大学、東洋大学、法政大学、明治大学、立教大学、創価大学、国際大学、立命館大学、関西学院大学、立命館アジア太平洋大学

 ②申請人が①に該当する大学等に在学中から起業活動を行っていたこと。

③所属している大学等が、申請人が起業活動を行うことについて推薦すること。

④所属している大学等が、申請人の起業活動について支援をすること。

⑤申請人が、起業活動の状況を所属している大学等に報告すること。

⑥所属している大学等が、申請人の起業活動の継続が困難になった場合等に帰国指導・支援を行うこと。

※②から⑥については、大学から誓約書をもらうことで証明することになります。

 

⑵「外国人起業活動促進事業」又は「国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業」の利用後に本制度を利用する場合

①申請人が日本の大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校又は専修学校の専門課程(専門士))を卒業又は終了したこと。

②申請人が①に該当する大学等を修了後、引き続き外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業をもって日本に在留していた者であること。

③申請人が外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を活用したものの起業に至らず、その後、引き続き本邦に在留して起業活動を継続しようとするものであること。

④新たな措置への移行に際して、外国人起業活動促進事業における外国人起業活動促進団体(地方公共団体)又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業における関係地方公共団体が上記③の起業に至らなかった理由について合理的な説明を行い、かつ、今後企業を行うことの確実性が高いことの評価を行うこと。

⑤上記④の地方公共団体又は申請人が所属している大学等が、申請人が起業活動を行うことについて推薦すること。

⑥上記④の地方公共団体又は申請人が所属している大学等が、申請人の起業活動について支援すること。

⑦申請人が起業活動の状況を上記④の地方公共団体又は申請人が所属している大学等に報告すること。

⑧上記④の上記④の地方公共団体又は申請人が所属している大学等が、申請人の起業活動の継続が困難になった場合等に帰国指導・支援を行うこと。

③、④については、④の地方公共団体から提出された評価書をもって判断します

⑤から⑧については、上記④の地方公共団体又は申請人が所属している大学等から誓約書をもらうことで証明することになります。

3.外国人起業活動促進事業とは

外国人起業活動促進事業は、外国人起業家の誘致に関し、経済産業省の定める告示に沿って地方公共団体から起業支援を受ける外国人起業家に対し、ビザを発給する制度です。

本制度の実施にあたっては、外国人起業活動促進事業を実施しようとする地方公共団体が、外国人が起業準備活動を行うことを促進するための計画(外国人起業活動管理支援計画)を策定し、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。

認定を受けた外国人起業促進実施団体は、外国人起業活動管理支援計画に基づき、外国人の起業準備活動の管理・支援を実施することとなります。

地方公共団体の管理・支援プログラムを経済産業大臣が認定し、特定活動ビザを申請することになります。

今回ご紹介しているスタートアップビザとの関連性としては、この外国人創業活動促進事業を利用したものの、起業するまでに至らなかったことを対象としていますので、まずはこの制度を利用し、起業できなかった場合の受け皿として利用することになります。

 

⑵制度を利用できる地域

認定地方公共団体でしか、この制度(外国人起業活動促進事業)を利用することはできません。

福岡市、愛知県、岐阜県、神戸市、大阪市、三重県、北海道、仙台市、横浜市、茨城県、大分県、京都府、渋谷区

 

4.国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業とは

上記3と同じく、日本国内で起業を希望する外国人起業家を支援するために始まった制度です。特定の対象地域において、会社設立前に6か月の「経営管理」ビザを取得し、その期間内で操業準備をしようというものです。

⑴対象となる外国人

「留学」ビザをもって滞在する外国人の方や、海外から新規に来日し起業したい方が利用することができます。しかし、日本全国どこでも国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を利用できるわけではなく、特定の対象地域において創業活動を行おうとする者であるこが必要となります。

⑵制度を利用できる地域

東京都、神奈川県、千葉市、成田市、新潟市、養父市、福岡市、北九州市、沖縄県、仙北市、仙台市、愛知県、広島県、今治市

5.スタートアップビザ(特定活動)のまとめ

スタートアップビザは、「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校を卒業している場合は、非常に魅力的な制度だと思います。これまでの制度では、大学卒業前後のタイミングで、すぐに経営管理ビザへの変更申請する必要があったため、十分な準備期間が取れない場合が見受けられました。このスタートアップビザは1年から最長2年間の準備期間があるため、見切り発車せず、十分に準備をしてから経営活動を始めることが可能です。

 反対に、「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校以外の場合は、まずは外国人起業活動促進事業や国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を利用し、言い方は悪いですが、起業に失敗した場合にようやく使える制度のため、あまり現実的ではないと思います。それでも制度を利用した起業に失敗したものの、引き続き日本で起業したい場合の際での砦ともいえる存在ではあります。

 最近はコロナの影響で就職難ということもあるのか、起業を目指す外国人の方が増えているように感じます。もしスタートアップビザの申請要件に該当する方は、同ビザを取得し、ゆっくり焦らず創業活動してみるのも良いかもしれません。